フランス留学!!

大学院理工学研究科(地球環境学専攻)1年 鈴木美恵

Bordeaux  フランスに来て半年が経ちました。私は現在、ボルドー第三大学の語学学校に通っています。この原稿を書いている今は、まさに留学真っ最中です。

 21世紀教育の多言語選択で、私はフランス語を選びました。フランスに憧れがあったので第二言語として勉強するならフランス語と心に決めていたからです。(今思うとかなり安易でした)

 元々、言語の勉強は好きだったのに加え、先生に恵まれ、クラスの雰囲気も良く、フランス語をもっと身になるまで勉強したいと思い、21世紀教育だけでは飽き足らず、人文学部の先生に頼み込んで、人文学部の専門のフランス語コミュニケーション実習にも参加させていただき、更にレベルアップした文法と会話の勉強をすることができました。(実はフランスにいる今も当時のノートを開くことがあります。)
 授業の中では教科書に沿った言語学習だけでなく、先生方の体験談や、先生が持ってきたお気に入りのビデオや音楽、資料を通して、フランス文化、歴史も言語に結び付けて勉強することができ、フランス語検定の資格を取ることもできました。

 始めのうちはフランス語を勉強しているだけで満足で、留学は「できるものなら」くらいの感覚で考えていたのですが、フランス語の勉強を続けていくにつれ、徐々に生身で言語を習得したいと思うようになりました。「今しかない!」こう考えてたどり着いた結論が"留学"でした。
 何よりフランスに来たかった!!!
 それでも、部活、家族、就職時期、卒業などを考え、一時は長期留学を諦め、私費での短期留学をしようと思い私設のセミナーに参加したりもしましたが、やはり一年の留学がしたいと思ったので、大学院へ進学し交換留学制度で留学をすることに決めました。

 やっとの思いでフランスに来た今、まずしなければならなかったのは日本でやってきたことの復習でした。言い訳になりますが、留学が決まっていたにも関わらず卒業研究やらバイトですっかりフランス語と距離を置いて怠けていた私は「これは確か・・・!」と思うのですが、出てこず、何度も日本でのノートを開きなおしました。わからないところを質問するにもフランス語、自分の意見を話すのもフランス語なので、自分を成長させるかどうかもフランス語です。本当にどっぷりフランス語です。一人で机に向かって必死に勉強していれば、話せるようになるかというとそうではありません。どんなに勉強しても、話すときとっさに文章が組み立てることができなかったり、慌てていると動詞の活用ですらうやむやになったりしてしまいます。私だけかもしれませんが・・・
 四苦八苦することもありますが、ボルドー第三大学の学生とも交流することができるので、困っていると彼らはすかさず助けてくれます。勉強面はもちろんですが、弘前に来ていた学生と日本にいるときから仲が良かったので、その子たちがフランス人の友達を紹介してくれたり、色々なところに連れて行ってくれたりして、生活面でも本当に助けられています。

 語学学校にはたくさんの国籍の人たちがいて、それぞれフランス語に対して得意不得意があってとてもユニークです。たとえば日本人は割りと文法が得意ですが、ラテン系の人たちは文法が苦手だったり。逆にラテン系の人たちは動詞や形容詞がフランス語と似ているので、母国語の単語をボソッと言ったりすると当たってたり。日本人にはうらやましいところです。アルファベを書くときもヨーロッパ系やラテンアメリカの子達は速い!!発音も自分ではよくわからないのですが、「違う!!」と先生はしつこく直してくれます。私は前期(9月~12月)の間、なんとBonjour(こんにちは)の発音を何度も直されたのです!!!何度、授業を止めてしまったことか・・・先生方は各国籍の発音の得意不得意もお見通しです。
 学生の年齢幅も広く、みんな個々に違う目的を持って通っています。色んな人の話を聞くとかなり身になります。

 何かを機に、フランス語を再開してフランスに渡ってきた人もいます。30歳以上の人の中には、「大学でフランス語を第二言語として勉強していたから、フランス語をもっと勉強しようと思って。」といって、仕事を辞めて来ている人が意外なほどに多いです。前期にクラスメートだった韓国人のお医者さんは、三ヶ月の義務休暇でだんなさんを韓国に置き去りに(!)してきたと言っていましたし、日本で数学教師をしていた人は、数学教育に関する論文をフランスで書くために40代後半で退職して来たと言います。語学留学のつもりが、ボルドーにそのまま移住してしまった人も。
 グローバル社会の中で言語能力は尽きることのない需要ですから、第二ステップとしてフランス語のような多言語の再スタートを切る人も多いのでしょう。第二言語は、人生のどの時点においても、大きく人生を変える起点になる可能性を秘めているのではないかと、私は思い始めています。多言語を習得する重要性は、こういうところにもあるのですね。

 生活では日本の快適さを懐かしく思ったりします。でも快適さ故にわからなくなっていることもあります。フランスの生活は質素で、生きていることを実感します。私は寮生活をしているからかもしれませんが、食べ物、買い物、手続きなどなど色々な面で考えさせられます。それでも嫌気が差すことはありません。
 未だに悪戦苦闘している毎日ですが、毎日が宝物だと本当に思いながら時間をかみ締めています。

 弘前という街はフランス文化が根付いている街だと思います。土手町付近を散歩するとそんな気持ちになったりします。その弘前でフランス語に出会ったからこそ私は今このフランスに来るまでに至ったと思っています。
 フランス語に出会えて本当に良かったと思っています。
 フランス語に興味がある方はぜひ、フランス語を取ってみたり、留学生センターに行って勇気を出して留学生をつかまえてみたりしてください。

 私にフランス語を勉強する場を提供してくださり、教授し、この文章を書く機会を与えてくださった、弘前大学のフランス語チームの先生方に心から感謝いたします。ありがとうございます。

2007年9月~2008年7月 ボルドー第三大学語学留学