ヨルダン旅行で見た難民キャンプ
「モロッコ便り」からは少し外れてしまいますが、休暇を利用してヨルダンの難民キャンプを訪れた時のことを書こうと思います。
ヨルダン北西部の街・イルビッド。
大学や近代的なショッピングモールもあり、約109万人が暮らしています。
そんなイルビッド中心部からバスで南下すること数十分のところに、パレスチナ難民2万2000人以上が暮らす「Husn Camp」がありました。
1968年にUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)によって設立されたというこのキャンプ。
私たちは「難民キャンプ」と聞くとテント村をイメージしがちですが、しっかりとした家が立ち並び、商店や学校もある立派なひとつの「街」になっていました。
最近はシリア難民もこのキャンプに住み始めているといい、もとある家に2階を増築し、人口増に対応しているそうです。
上の写真でも、家々の1階と2階で雰囲気が違うのがわかるでしょうか。
訪れたのは昼過ぎ。
炎天下で人影はまばらでしたが、ちょうど学校では午前の授業が終わったころで、子供たちが楽しそうに下校しています。
お店ではおじさんが汗だくになりながらファラフェル(中東でよく食べられているひよこ豆のコロッケ)を揚げ、常連客にサービスしています。
モロッコとはまた違う、ゆったりとした時間が流れていました。
キャンプ内にある、小さな学校にもお邪魔しました。
障害を持った子供たちが通っているその学校には、この日10人ほどの生徒がいました。
手話で何か話しかけてきたり、ビズをしたり、やんちゃ盛りの子も。
キャンプ内にそういった学校も整備されていることに私は少し驚きましたが、ヨルダンでは珍しいことではないようです。
壁画には「I love Palestine」の文字が。
UNRWAによると、ヨルダンにはこうした公式のパレスチナ難民キャンプが10か所あり、約212万人が難民として登録されています。
難民としての給付を受けるためキャンプで暮らすものもいれば、ヨルダン国民と同様、普通の市民として暮らすものも。
「難民」と一口に言っても、最初にパレスチナ難民がうまれてから約68年。
すでに子供をもつ父母の世代が「キャンプ生まれ」となっており、「故郷」を知らない人の割合も高くなっていっています。
日本でも東日本大震災のあと、16万人がいまだ避難生活を送っている現状がありますが、長期的な避難生活について、改めて考えさせられました。
2016年6月7日