国際フォーラム(日仏交流150周年記念事業)報告

熊野真規子

 6/20(金)に京都大学で、「多極的世界観の構築と外国語教育――多様な言語文化への挑戦」
”La formation d'une vision du monde multipolaire et l'enseignement des langues étrangères -- Le défi du multilinguisme” という国際フォーラムが開催されました。

 フランスの元首相のドミニク・ド=ヴィルパン Dominique De Villepin氏が基調講演、京大教授・佐伯啓思氏、中央大教授・三浦信孝氏の報告、後半がそれらをふまえたシンポジウム(時間が押し、三者の議論には至らず、会場からの質問の中から司会の京大准教授・小倉紀蔵氏が選択した問いに三者が考えを述べるという進行になりましたが)という構成でした。

 フォーラムの内容は後援の朝日新聞に掲載されるほか、京都大学オープンコースウェア(現在はリンク切れにつき市長不可)にてフォーラムの全貌に映像で触れることができ、さらに、NHKのETV特集、ド=ヴィルパン氏の滞在先ホテルでのインタビューがNHKテレビのフランス語講座番組内で放映予定とのこと(2008年時点で)。

 昨年までフランス共和国首相を務めていたド=ヴィルパン氏が「多極的世界観の構築」を語るとなると「フランスのホンネは、さて」などという意地悪な聴き方はいくらでもできるでしょうが、会場からのそのような質問を跳ね返すその見事なディスクールは、はたして弁論「術」なのか、それとも氏の熱く堅い「信念」なのか。2003年の外務大臣時代、国連安保理でアメリカ主導のイラク戦争反対をアピールした氏の弁論術に、皆さん自身が直接触れ、判断できるまたとない機会だと思われます。

 さらには、パネリストの報告に耳を傾けた結果、外国語学習者の皆さん自身が「なぜ大学というところで外国語を学ぶのか」という外国語学習の意義を「自分なりに」見つけられるか、試してほしいと思います。

   私自身、大学1年生の時に先生から出された上記の問いに対して、自分なりにたどり着いた答えを信じて、○十年後の今も外国語を(通じて)学び、教えているからです。

写真 左:ド=ヴィルパン氏。中:ド=ヴィルパン氏と。右:懇親会での風景。