「くろいシスト」‐人との繋がりが生まれる宝探し‐
弘前大学人文学部欧米文化コース2年 小田切雅熙
9月末のイベント「Fête(フェット) Française(フランセーズ) à(ア) Hirosaki(ヒロサキ) ~フランス日和(びより)」で「シスト Ciste」を計画するにあたって、シストがどういうものなのかを体験するべく、7月上旬に黒石市で行われている「くろいシスト」に参加しました。
フランスが発祥のシストは、ヒントを頼りに、いろいろな場所に置かれた宝箱(タッパーなど)を見つけ、中の宝物を自分の宝物と交換していくという宝探しゲームです。
「くろいシスト」のルールも、ほぼ同じです。ヒントが書かれた街の地図を頼りに、黒石を象徴する「こみせ」を模した宝箱を探していきます。
後日、発案者である、商工会議所の鳴海昌昭さんにお話を伺いました。
「くろいシスト」誕生秘話
「くろいシスト」のきっかけは、2010年11月放送の「世界ふしぎ発見」でフランスのシストが紹介されたことだそうです。シストは参加者が宝物を交換していくので、手間や費用がかからないことが大きな要因だったとのこと。
そこで、市内の歴史に詳しい方の監修のもとに作られたヒントに、いかにも宝の地図っぽい街の地図、こみせを模した宝箱など、黒石独自の要素を備えたくろいシストが作られ、2011年4月にスタートしました。
効果は大きく、市内・近隣の方からの参加にとどまらず、秋田のある小学校の毎年の修学旅行コースになっていたり、六本木ヒルズの正月イベントに招待されたりもしています。大人数の場合は、宝箱に札(ふだ)が入っていて、グループで集めた枚数に応じて景品と交換という形式も行っています。「ゲーム・レク的要素として、黒石に新たな町おこしができた」と、鳴海さんは言います。
人と触れ合う宝探し
参加してみればわかりますが、くろいシストは、ただの「宝探し」とは違います。宝箱を探しつつシストの主な舞台である「こみせ通り」を街歩きすることもできますし、ヒントからは、黒石の歴史に触れてもらうこともできます。また、わからないことや困ったことは近くの店の人や道行く人に尋ねたりと、街の人とのコミュニケーションをとることもできます。「黒石の人の人情に触れられる機会をつくることができて良かった」と、鳴海さんは話してくださいました。
くろいシストを始めて以降、勝手に宝箱から宝物が持ち帰られたりということも多々ありましたが、宝箱を置かせてもらっている店の方が入れてくれたり、自分の宝物を空の宝箱に入れてあげたという子供もいたそうです。こういうことは、普通の宝探しでは体験できない魅力だと思います。
取材中、鳴海さんが「宝探しって、何かワクワクしますよね」と話してくださいましたが、シストに参加してみて、本当にそのように思います。
宝箱自体が小さいので、簡単に見つかる時もあれば、軒に隠れていたりと、意外なところにあったりもするので、探すのも楽しいです。
また、宝箱の中身は本当に未知数です。毎回中身は変わるし、宝箱ごとで違うので、全部回るのも、何度も挑戦するのも良いと思います。機会があったら、是非参加してみてください。
「フランス日和」のシストをきっかけに、弘前でのシストが定番になる可能性もあります。「くろいシスト」とタイアップして、広くアピールしていきたいと思います。
HP:くろいシスト