沢山通いたくなる温かいお店

弘前大学人文社会科学部多文化共生コース2年 川端真有


弘前市桔梗野にあるパン屋「Boulanger SASAKI(ブランジェ・ササキ)」。店名はフランス語で「パン職人佐々木」という意味です。オーナーの佐々木隆司さんは、パン作りをほとんど独学で学んだと言います。パン屋を辞めては別の仕事に就き、またパン屋で働くといったことを何度か繰り返しましたが、最終的に自分にはパン作りが合っているのだと気づき、パン作りの道に進むことを決意しました。2002年に現在のお店をオープンし、パン職人としての新しいスタートを切ります。


佐々木さんは、お客さんのことを常に思いやり、お客さんに喜んでもらうことを大切にしています。お店のほとんどのパンは、200円以内の低価格で設定されています。なるべくリーズナブルな値段で提供することを心掛けているのは、お客さんに沢山お店に通ってもらい、少しでも多くのパンを食べてもらいたいという思いからです。また、素材も厳選しており、体に良いとされる水素水、きび砂糖、自然塩を使用。水素水には酸化を防ぐ効果があり、パンの質や味が落ちるのを遅らせることで、美味しさを保つことができるのです。


店内には、基本的な食事パンからフルーツを使用した洋菓子感覚のデニッシュ系まで、種類豊富にパンが並んでいます。その中でも佐々木さんのおすすめはフランスパン。バゲットやバタールといったシンプルなものに加え、ベーコンやポテト、チーズなどの具材をトッピングしたものなど、フランスパンだけでもさまざまな種類を提供しています。佐々木さんは、フランスパンは皮が命だと言います。その皮を楽しむため、スライスせずちぎって食べるのがおすすめなのだとか。さらに、湿り気により味が落ちることを防ぐため、ビニール袋に入れずに提供しています。また、フランスパンが美味しく食べられるのはオーブンから取り出して3時間。お店では午前11時30分から提供を始めているので、皆さんもぜひ足を運んでみてください。

パン作りにおいて佐々木さんが最も大切にしていることは、「何があっても諦めないこと」です。パン作りは温度や湿度など気候に非常に左右される仕事。そのため、プロの職人であっても、毎日同じパンを作ることは容易ではありません。また、段取り次第でパンの味は変わります。佐々木さんは、「常に緊張感を持たなければいけない仕事だが、そこがまた面白い。それと同時に毎日同じようにできないのが悔しいが、生涯を掛けてパン作りを極めていきたい」と語って下さいました。パン職人として生きていくことを決意してから、今まで困難に直面したことが何度もあったと言います。しかしその数々の壁を乗り越え、パン作りを極め続けてきた佐々木さんからは、お客さんを思いやる温かい人柄とパン作りに対する揺るぎない思いを感じました。