レンガだけじゃない!「弘前れんが倉庫美術館」の魅力

弘前大学人文社会科学部文化資源学コース2年 小林鮎奈

元々酒造工場であった吉野町煉瓦倉庫を改修した弘前を代表する「弘前れんが倉庫美術館」は、国内外の現代美術作品を通して弘前と世界を結び、地域の文化創造の拠点を目指しています。また、約100年前に作られたレンガをできるだけそのまま残して改修を行った非常に珍しい施設であり、市内のレンガ造りの中でも特に有名です。
ここでは、この美術館の広報担当である大澤さんが教えて下さった、リーフレットでは紹介しきれなかったこの美術館の魅力をご紹介します。

この「弘前れんが倉庫美術館」は主に現代美術作品を中心に展示していますが、何故「弘前現代美術館」という名称ではないのか皆さんは疑問に感じませんでしたか。これには理由があるのです。大澤さんによると、「現代美術館」と名乗らずに、あえて名称に「れんが倉庫」と入れたのは、建物自体の特徴を表現し、「れんが倉庫といえばあそこだよね。」と市民の方々が気づきやすくするためなのだそう。また、「現代美術館」というよりも、昔からある「れんが倉庫」と名乗る方が弘前と世界、また未来に繋げていくことが可能になるとも仰っていました。確かに「れんが倉庫」という文字があるだけで、どのような美術館なのかがすぐわかりますし、地元の方々にも愛着が湧きやすいのかもしれませんね。
ところで皆さんは「弘前れんが倉庫美術館」の英語の名称をご存知でしょうか。英語表記では「Hirosaki Museam Of Contemporary Art」となっており、「れんが倉庫」の文字は表記されていません。しかし略称がありHirosakiの以下の文の単語の頭文字を取って「Hirosaki MOCA(弘前モカ)」と呼ぶことができ、海外の来館者でもわかりやすい名称となっています。

この美術館の楽しむポイントについてご紹介したいと思います。この「弘前れんが倉庫美術館」は主に現代美術作品を展示していますが「現代美術は見てもよく分からないし難しい…」「そもそも美術館は行きづらい…」と感じてしまう方も多いのではないでしょうか。そのような方々にもこの美術館を楽しむことができるポイントを大澤さんにお聞きしました。まず、今年の9月22日まで開催されている「Thank You Memory ―醸造から創造へ―」では、建物の記憶と弘前という地にフォーカスした美術作品を展示しています。アーティストは、この「れんが倉庫」はどういった場所であったのかを現地へ行ってリサーチし、そこから得たことが作品に反映されています。「この土地と作品はどういった関わりがあるのか」また「自分とどう関わりがあるのか」と共通する部分を探して作品を見てみると、新たな発見が見つかるかもしれません。
また、「れんが倉庫」というだけあって館内の建築部分の見所もたくさんあります。例えば内部のレンガ造りや、古い部分をそのまま残して作られた箇所など、建築空間としての色んなバリエーションを見ることが出来ます。作品を見るだけではなく、建物の作りを見ることも楽しむポイントの一つのようです。また大澤さんは、建物の前にある綺麗な緑地を散歩がてら立ち寄っても、建物の隣に併設してあるカフェでコーヒーを飲んで楽しんでもいいと仰っていました。「弘前れんが倉庫美術館」に訪れる際にはこれらのポイントを意識して楽しんでみてはいかがでしょうか。

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