学校給食と食育 日本とフランスではどんな違いがあるだろう? #3 給食制度のちがい
2021年度後期 多文化共生コース特設講義B(1)
「地域と世界をつなぐⅠB」給食/食育チーム
小丸美月 清水瞳
学校給食と食育 日本とフランスではどんな違いがあるだろう?
給食といえば、みなさんが一度は経験したことがあると思う。小学校や中学校で、教室で友達や先生とともに食べる給食は、日本で学校生活を送ってきた私たちにとって当たり前に見てきた光景だろう。
では、学校の仕組みや食文化の異なる海外では、学校給食や食育は行われているのだろうか?
そこで、弘前と所縁のある『フランス』では、給食はどのような形式で、どのように利用されているのか? 食育は行われているのか? ということについて調べ、3組の方にインタビューを行った。フランスの学校給食や食育について見ていこう。
給食を利用する日を選択できる?
私たち学生4名の経験では、給食という制度がある義務教育期間の小学校と中学校では、授業日である平日は毎日給食を利用するもの。しかしフランスでは一週間のうちで利用する曜日を選択できるという情報が! 実際はどのような利用制度なのだろうか?
地域や学校にもよるが、事前のアンケートで一週間に利用する曜日を選び、その期間内で固定するところがあれば、別の学校では曜日に関係なく給食を利用するか・しないかを固定するところもあるよう。フランスの小学校は水曜日が休みのため、アンケートによって利用回数を決めるという学校では月・火・木・金の中から給食を利用する曜日を選択し、曜日選択に加えて宗教やアレルギーによって食べられないものや、食事に制限があるか等についてもアンケートに記入するのだそう。一学期(約3ヶ月)に一度変更が希望できるという。
おかわりはあるの?
苦手なものを減らす児童生徒や欠席者が出たことなどにより給食が余っている時には「おかわり」をする児童生徒が見られる給食時間。では、日本の給食では一つの盛り上がりポイントとも言える「おかわり」はフランスでも見られるのだろうか?
こちらも地域や学校によって、おかわりがあるところ・ないところ、どちらもあるよう。
おかわりがあると教えてくださったのはノルマンディの小・中学校に通っていたAntoine Trinité(以下、アントワーヌ)さん。アントワーヌさんの学校では、日本の大学にある学食のように、児童生徒がお盆をもって列に並び好きなものを好きにとって食べていいという形式だったという。給食をつかう児童生徒が全員自分の分を取り終わった後、余ったものを食べたい人がおかわりするそう。
また、おかわりはないと教えてくださったのはパリの小・中学校に通っていたThéotime Doumergue(テオさん)さん。しかし、食事し終わった後に残ったものをさらにもらう「おかわり」はないが、おかずを児童生徒同士で「チェンジ」することや、欠席者の分をもらう、ということはあったそう。
給食費にはどんな差が?
日本の給食は、児童生徒の全員が利用するために、一人当たりの給食費は同じである。しかし、フランスの給食制度では利用回数が選択できる地域や学校がある。それでは、給食費はどのような仕組みになっているのだろうか。
この問いに、非常に興味深い話を教えてくださったのは、2人のお子さんを持つフランス在住30年以上の日本人女性の智子さん。智子さんのお子さんが通っていた小学校は、事前アンケートで一週間に利用する曜日を選び、一定期間内決めた曜日のみ給食を利用するという制度だった。
給食費の支払いは「各家庭の収入によって変動する」というお話が! もちろん、全ての学校に当てはまるというわけではないことに注意したいが、智子さんのお子さんが通っていた学校の給食費は収入に応じて約8段階程あったのだとか。共働きの家庭では最も高い段階の額を払わなければならなかったり、逆に収入が低い場合には安くしてもらうために収入を証明できるものを提示したりといったことがあったそう。
智子さんのお話によると、小学校、中学校、高等学校で差はあるものの、経験された給食の制度で全額を支払った場合には、一食あたり約5ユーロ(2022年1月21日(金)時点で日本円にして約645円)かかるとのこと。日本の給食費が1食あたり200円から300円なことを考えると、金額だけで捉えると2倍近い額になっている。