留学生とまちあるき

弘前大学人文社会科学部多文化共生コース2年 藤木亜美

弘前大学に在籍するフランスのボルドー・モンテーニュ大学(Université Bordeaux Montaigne)から来た留学生3人(ロバンRobinさん、ソフィSophieさん、マルゴMargotさん)と一緒に弘前市の土手町から弘前公園周辺までの道のりを「まちあるき」しました。留学生は勉強中の日本語(たまに英語も交えて)で話してくれました。

Q.弘前のいいところは何ですか?
A.落ち着くところです。弘前に来る前は、田んぼや畑を想像していたのでもっと田舎だと思っていました。でも実際は意外と様々な建物があって、年齢関係なく楽しめる場所があります。正直、都会よりも弘前のほうが落ち着いて過ごしやすいので好きです。また、城下町(城郭)はフランスにもありますが、弘前にはまた違う歴史や雰囲気があってとても魅力的です。

Q.弘前でよく行くところはどこですか?
A.弘前公園です。公園の中や外を歩くだけで、弘前城や公園の様子などから日本らしさが伝わってきます。弘前の中でも特に日本っぽい場所だと思います。まだ桜まつり以外の祭り時期に弘前公園に行ったことがないので、様々な祭りの雰囲気を味わってみたいです。桜まつりは桜がとてもきれいだったので、ぜひもう一度見たいです。

Q.よく「津軽弁はフランス語に聞こえる」と言われることについてどう思いますか?
(様々な津軽弁を彼らに聞かせると…)
A.そんなことはないと思います。全然フランス語のようには聞こえないし、似ていない気がします。たぶんそれくらい津軽弁が難しいのだと思います。フランス語と津軽弁が似ていると言われているのは知りませんでした。

Q.弘前の道は狭くて、そのうえ坂が多いとよく言われることについてどう思いますか?
A.確かに場所によって道は狭いですが、坂は地元のボルドーの方が多いと思います。道が狭いことや坂が多いことには、そこまで困ったことも不便だと思ったこともありません。

土手町にあった「かわら版」を見せて、昔から情報を共有するのに使われていて、今でいう新聞のようなものだと説明すると、昔のものも街並みに合わせて残しているのは素晴らしいことだし、今まで土手町に来てもちゃんと見ていなかったから知ることができてよかったと言っていました。

ねぷた小屋を見せると何かわかっていない様子だったため、この中にねぷたが入っていると伝えると、意外と大きいと驚いていました。ねぷたがもっと小さいものだと想像していたようで、ますます夏のねぷたまつりに興味がわいたそうです。そこからお祭りの話になりました。

Q.弘前の祭りを見たことはありますか?
A.まだ桜まつりしか見たことがないので、ぜひ他の祭りも見てみたいです。

立佞武多だけは博物館で見たことがあるようで、青森と弘前のねぶた・ねぷた、菊ともみじまつりなどを写真で見せるとかなり興味津々の様子でした。その中でも反応がよかったのが、雪燈籠まつり。写真を見せると雪像に感動していました。何よりも驚いていたのが雪像の製作者です。弘前の自衛隊が作っていると伝えると目を大きく見開いて驚き、「こんなに細かい作業ができるなんて!彼らはまるでアーティストじゃないか!」と言っていました。その驚いている様子がとても印象的でした。

フランスにももちろんお祭りはたくさんあるようですが、彼らはその中から”Fête de la musique(フェット・ドゥ・ラ・ミュージック)”、「音楽の日」というお祭りがあると、私たちに教えてくれました。毎年6月にフランス各地で音楽のジャンルも年齢も問わず、音楽を楽しもうというお祭りだそうです。

留学生の3人はあんこが好きということで、土手町で有名な「黄金焼(おやき)」を、紹介も兼ねて皆で食べました。黄金焼の中のあんが白かった(白あん)のですが、初めて見るものだったようで、何からできているのだろうなどと興味津々でした。また、黄金焼と一緒にお茶がサービスで運ばれてきたことに感激した様子でした。初めての黄金焼だったようで、おいしい、また来たいと気に入ってくれた様子でした。

3人とも日本食でそばが好きだと言っていたので、鍛冶町にあるそば屋へ行って皆でそばを食べることにしました。メニューが豊富だったので、何を食べるか迷いながらもとても楽しそうに注文を決めていました。
3人とも箸の使い方が上手でキレイに完食していました。食後にそば湯がついてきましたが、何かわからないような様子だったので、私たちが簡単に説明して勧めると興味を持ってくれて味わいながら飲んでいました。どうやらそば湯を気に入ってくれたようで、純粋にそばと店の雰囲気を楽しんでいたように思います。
そこで、もう少し彼らに質問してみました。

Q.弘前のゴミ箱やWi-Fi環境についてどう思いますか?
A.弘前はゴミ箱が少ないのに、落ちているゴミは少ないと思います。地元のボルドーにはもっとゴミ箱があるので来た当初は不便でしたが、今は慣れました。でもゴミ箱はもっと街中にほしいです。あとWi-Fiも特定の場所やその周辺でしか使えないことが多いので、スマートフォンがもっと使いやすい環境がほしいです。

Q.弘前の多言語表記・対応についてどう思いますか?
A.電車に乗ったときに、言葉がわからないと不便だと感じました。もっと外国語表記や説明、対応が増えてほしいです。弘前は中国語や韓国語は結構ありますが、それらに加えて少なくとも英語はあってほしいです。できればフランス語、スペイン語などもあればいいですね。

フランス人留学生と一緒に弘前の街を歩いてみて、3人は知らなかったことがいくつかあったかもしれません。しかし、一緒に歩いた私たち(ほぼ全員弘前は地元)でも説明などをする立場に立って再発見することがたくさんありました。例えば祭りは、当たり前のように毎年行われるものだと思っていましたが、これほど四季を彩る祭りが季節ごとに行われるのは珍しいことだと改めて気づきました。津軽弁や祭り、弘前公園など(これだけにはとどまらず)弘前にはこれからも守っていくべき素晴らしいものがたくさんあります。これは弘前にとって長所であり、魅力です。しかし同時に、ゴミ箱の少なさやWi-Fi環境、外国語表記などといった改善すべき課題も見つかりました。弘前のいいところだけでなく、これらの課題についても、このパンフレットを機に皆さんと一緒にもっと考えていきたいです。これから弘前をもっといい街にしていきましょう!

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